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収穫前の田んぼが枯れたように黄色く変色しているのは何だろう

10月に入ってすっかり朝夕は冷えるようになってきました。

この時期の田舎の行事といえば稲刈り&秋祭りなんですが、今年の田んぼの色いつもと違って変な部分がありませんか。実ってきた田んぼの所々にミステリーサークル状に広がる不自然な黄色。近くで見るとその部分だけ米が枯れているように見えます。

これは、どうやら稲の害虫「トビイロウンカ」通称「ウンカ」の仕業のようです。この害虫に汁を吸われた稲は黄色く枯れて倒れて食べられなくなってしまいます。

長年田んぼの景色と共に季節を感じてきた田舎民の私でもこんなに枯れた状態が広がっているのを見たことない!と思っていたら、案の定JA奈良県によると「平成以降最大の被害」になっているようです。

収穫前の米が駄目になってしまった農家の皆さんの気持ちを考えるとちょっと悲しくなります。(お米も多分今年は値上がりするかもしれません)

その元凶「ウンカ」なんですが、実盛虫(さねもり)なんて呼ばれることがあります。

実盛(さねもり)?何ソレ。名前?「あつ森」ならゲームしてるけど?と思った貴方、安心してください。昔の私と一緒です(笑)

実盛とは、「平実盛(たいらのさねもり)」という平安時代に実在した人物にまつわる伝承があるからなんです。

今から遡ること800年以上前・・・源平の合戦の際、平実盛は木曽義仲との合戦のさなか、田んぼの稲に乗っていた馬の脚をとられ落馬してしまいます。そして、馬から落ちた実盛は敵に打ち取られて命を落とします。その時、実盛の残した言葉が、

「無念やな。これもまた運か(ウンカ)。」

こうして、自分が死ぬ原因になった稲と農民を逆恨みした実盛は稲を枯らす害虫となって現在まで我々を苦しめている。という言い伝えです。

この話を昔、テレビで見たときの感想・・・「実盛様、逆ギレしすぎ」

しかし、この話はとても興味深いですよね。

一つは、「ウンカ」という害虫が平安時代から農民を苦しめていたという事が分かる。ということ。

もう一つは、大昔の怨霊信仰というものも伝わってきます。昔は、高貴な身分の方が無念のうちに恨みを抱えて死ぬと怨霊になる。と信じられていました。死して日本人の一番大切な食料に仇なす怨霊になったと、思われるほど平実盛は当時の実力者だったんでしょうね。

現在でも西日本では、虫送りという豊作を祈る行事の中に実盛の霊を鎮める儀式などが残っている地域もあるようです。

平実盛様の(こうなってくると様をつけずにいられない)伝承はさておき、「ウンカ」の被害が少しでも減るように私も祈りたいと思います。