お寺

円成寺で若き日の快慶の傑作を愛でる

今回はお寺好き・仏像好きでなければあまり聞かないお寺「円成寺」です。このお寺は観光地奈良市内からすこし離れた山のなかにあります。

東大寺、興福寺など奈良市内の有名なお寺を抜けて北へ車を走らせ、柳生方面と書いてある看板を抜けてうねうねとした、のどかな山道をしばらく車でひた走り・・・

え?本当にこっちで合っている?全然着かないんですけど。と心配になり始めた矢先に、突如そのお寺は現れます。駐車場から道を挟んで入り口をくぐるともう、そこは円成寺の境内。お寺の内部は奈良市内の大寺院や神社などにくらべるとこぢんまりしていますが、なんたってみんな大好き天才仏師「運慶」のデビュー作が見られるのです。

※「運慶」って誰よ。と思った方は、東大寺南大門の左右に鎮座する「金剛力士像」を思い浮かべてください。教科書に載ってた「阿形像」「吽形像」を作った運慶快慶のうちのだいたい前に名前のある方の人。とでも認識をお願いします。

運慶好きには行くべし円成寺のゆるっと解説

円成寺のお庭
撮影時あいにくの雨でしたが人も少なく情緒がありました
  • 東大寺などの誰もが知っている観光地からちょっと離れた場所にある柳生街道沿いにあるお寺
  • 桜門(重要文化財)の前の庭園は平安時代に流行した浄土式庭園
  • ちなみに桜門は応仁の乱の際に一度焼けていてその二年後に再建されている。応仁の乱がここまで!?とびっくりさせてくれる。
  • 浄土式庭園とは有名な「平等院鳳凰堂」のように広い池に中島を浮かべた庭園。
  • なので池ごしに門をみるポイントに移動して、そこで極楽浄土を眺めている感じを噛みしめつつ、じっくり眺めてからお寺に入るべし
  • 拝観時間 9時~17時
  • ちなみに拝観料は500円
  • 山の中にあるので、車で行くことをお勧めするが、バスでも行ける。(近鉄奈良駅から33分)
  • 多宝塔の中には本堂よりも有名な運慶20歳ころの作品である「大日如来」(国宝)があり、通常拝観可能

拝観料をはらったら、まずは本堂へ。本堂の阿弥陀様へのご挨拶が終了したらいよいよ運慶タイムです。

大日如来坐像(運慶作)のあらまし

本物は撮影禁止。ポストカードでご紹介
  • 大日如来様は密教の本尊。
  • ここで、あれ?如来像なのに、王冠とかつけてるよ?と思ったアナタは仏像通です。
  • 「大日如来」はサンスクリット語で「マハーヴァイローチャナ」という舌を噛みそうなお名前で「ヴァイローチャナ」とは光明・太陽の意味。(それを意訳して「大日如来」とされたらしい。)
  • 大宇宙の真理・またあらゆる仏の根源。
  • 全ての仏を統合した仏。
  • などなど、とにかく、仏の中でも最高存在と位置づけられている。
  • なので、質素な身なりの仏像が多い「如来」の中で特別に装飾品を身に着けて「如来」の中の「王」ということを示している。
  • 作者は天才仏師運慶作。なんと彼が20歳の時のデビュー作。
  • 元は多宝塔にあったが、現在は新しい収蔵施設に移っていて、前から横からと、じっくり見ることができる。

運慶作「大日如来」様の手に印を結んで静謐な空間に鎮座するその姿は正に悟りの象徴!!視覚によって密教を表現するってこういう事なのかな。と感心したりそれだけでなく、何となく若々しさや勢いのようなものも感じてしまいます。お寺の受付の方と少しお話をする機会があったのですが、その方は横からのお姿を推しておられました。笑。確かに凛としている。こういうやりとりや、発見は写真では味わえないものですよね。

ぜひ「円成寺」へ足を運んで実物を見ていただきたいものです・・・

円成寺DATA:奈良県奈良市忍辱山町1273

 :拝観時間 9時~17時

 :JRまたは近鉄「奈良駅」より「柳生」「邑地中村」「石打」行きバスに乗って「忍辱山」下車