お寺

興福寺 南円堂の秘仏不空羂索観音様は美しくも荘厳だった

阿修羅像で有名な奈良県奈良市にある興福寺。

そこに阿修羅だけでなく珠玉の仏像たちの宝庫であることをご存知でしょうか。そんなの知ってるよ!という方もそうなの?という方も、一度足を運んでみて損のないお寺です。まずは↓

  • 法相宗大本山。(仏教の派閥の一つだという理解でOK)
  • 藤原鎌足の妻が夫の病気平癒の為に山背の地に建てたお寺が遷都により飛鳥に。そして平城京遷都の際に藤原不比等(鎌足の次男)によって現在の場所に移転された。
  • 朝廷や藤原氏の庇護をうけてめちゃ繁栄。「北の比叡山、南の興福寺」なんて謳われていた。
  • 平安時代後期には神道の春日大社まで支配するほど!(その為、春日大社とは仲が良いみたい)
  • ちなみに、春日大社も藤原氏の氏神を祀る神社
  • 1180年に平重衡(しげひら)の南都焼き討ちで全焼(涙)しかし、その事がきっかけで焼けた仏像の製作を運慶ら慶派一門に依頼し、傑作がたくさん残ることになった。

そんな広大な土地と数々の仏像を有する興福寺の中でも今回は南円堂をクローズアップ!!

近鉄奈良駅から興福寺・南円堂へ行ってみよう

大多数の方が、奈良観光に利用する近鉄奈良駅を出て、目の前の大きな道を道ぞいに東へすすみます。だんだん鹿が増えてきたらそろそろ興福寺の近く。「興福寺」の案内看板があるので興福寺の境内へ。入口や門などはなく、奈良県民の私でさえも、どこからが興福寺の敷地なのかわかってません。(笑)元々の敷地が大きかっただけに、もはや奈良公園と一体化して収集つかなくなってるんですね。とにかく、五重塔(国宝)を探して目指しましょう。

朝日を浴びる五重塔
(国宝・室町時代)

五重の塔が近くまで見えたら南円堂はすぐそこです。境内に入ってもフワッとしている敷地の西の端をみてみましょう。南円堂があります。

南円堂あらまし

南円堂の建物は八角形をしています。
  • 西国三十三か所の第九番札所
  • 不空羂索観音を本尊として、四天王像、法相六祖像がある。
  • 不空羂索観音が鹿皮をまとっているのでやっぱり春日大社と縁がある。
  • 創建以来四度再建されていて現在の建物は江戸時代のもの。
  • ご本尊の不空羂索観音は秘仏なので外からは見えないし、普段は非公開。
  • 公開は毎年10月17日(年によって長期公開の場合もあり)

さてさて、この南円堂の中の秘仏なんですが、作者は鎌倉時代に仏像のスタイルを変えてしまった仏師集団「慶派」の総師 康慶

きっと運慶のパパです。という紹介の方が分かりやすいかもしれません。

ちなみに快慶の師匠でもあります。

そういえば、昔、大河ドラマ「平清盛」をやっていた際に、清盛・維盛・敦盛・実盛・・・ややこしいから、忠盛のことはパパ盛でいいや!みたいな呼び方が流行っていたとかいないとか。(閑話休題)

さてその、康慶の作品の不空羂索観音なんですが、これは、本当に・・・美人です(笑)運慶のような力強く内面のエネルギーをダイナミックに表現する作風と違って、気品のある(運慶に気品がないというわけではないけれど)この観音様は、静かに全てを見ていて救ってくださるのだ。と思わせるような安らぎと感動があります。

実物は写真の百倍素敵です。
(ちゃんと羂索をもってらっしゃいます)
「不空」とは信じれば必ず叶い虚しくさせない事
「羂索」は救済の為のロープ
「不空羂索観音」とは救済の為のロープであらゆる人々を漏れなく救ってくださる観音様。という事です。

特別公開で初めてこの観音様を見た時に、本当に手にもつ羂索で救ってくれるじゃないかな。と、そんな気がして感動したのを覚えています。いろいろな仏像を見てきた今でも、かなりお気に入りの観音様です。不空羂索観音様のまわりには四天王や法相六祖像もあり、こちらも見ごたえ十分です。

一年に一度しか会えないというレア感がまたそそられるのかもしれません。

少し、普段は秘仏なので気軽に見に行くには難易度が高いかもしれませんが、長期間、ご開帳している年もありますので、機会があれば是非いってもらいたいお寺です。