奈良県桜井市にあるお寺、安倍文殊院。
このお寺には「三人寄れば文殊の知恵。」ということわざで有名な、文殊菩薩様がいらっしゃいます。
ことわざ通り、文殊菩薩は知恵の神様。受験シーズンには合格を祈願する受験生がたくさん訪れます。
さらに、このお寺はお花を使ったイベントが人気だったり、寺の境内に古墳があったり、陰陽師とつながりがあったりと、とにかく話題が豊富。
今回は、この情報盛りだくさんな安倍文殊院を楽しく解説していきます。
安倍文殊院の基本情報
安倍文殊院
住所:奈良県桜井市阿部645
電話:0744-43-0002
拝観時間:9時~17時(年中無休)
拝観料:境内無料、本堂拝観700円・金閣浮御堂拝観700円・共通拝観券1200円
アクセス
JR・近鉄桜井駅から徒歩20分。または、奈良交通バス「安倍文殊院前」下車すぐ。
駐車場:200台(駐車料金500円)
安倍文殊院駐車場情報
安倍文殊院にはすぐ横に隣接する広い駐車場があります。
そして、少し離れた場所に第一駐車場・第二駐車場もあります。
駐車料金は一日500円。
イベントなどがある日は込み合いますが、普段は特に込み合う事もないため、安心して車で行くことができます。
知って楽しい安倍文殊院
- ムシゴロシでお馴染みの、大化元年(645年)建立。
- 当時、ブイブイいわせていた安倍一族の氏寺として、安倍倉梯麻呂(あべのくらはしまろ)が建立。
- ちなみに、このお方は藤原鎌足らと大化の改新を推進した人物。当時の権勢は推して知るべしである。
- 建立当時は現在の場所より南西の位置に、法隆寺式伽藍配置による大寺院として栄えていた。
- 現在の位置に移ったのは鎌倉時代。
- しかし、かの有名な東大寺焼いちゃった武将こと、松永久秀の兵火を受けてほとんどを火災で焼失。
- 100年後の1665年に現在の本堂が再建された。
- 日本三大文殊(宮津の切戸文殊、山形の亀岡文殊)の1つ。
- メインは、本尊の文殊菩薩(智慧を象徴する仏)だが、他にも境内には弁財天や、古墳、安倍晴明にまつわる施設があるなど、盛りだくさんになっている。
- 本堂を拝観する際には、別室でお抹茶と落雁がふるまわれる。それも楽しみの一つ。
(2021年現在・コロナ対策として抹茶のふるまいは中止中。落雁のみお土産として頂ける。) - 安倍文殊院では祈祷も有名。
祈祷の希望者は本堂のご本尊文殊菩薩様の目の前で祈祷がうけられるという特大ボーナスがある。 - また、花を使ったイベントも有名で、パンジーの「ジャンボ干支花絵」や「コスモスの迷路」なども人気。
毎年、年末より人の手で植えられて参拝者を楽しませてくれる「巨大花絵」合格の文字が全ての受験生に優しい。
安倍氏といえば、遣唐使?陰陽師?
境内には、奈良時代の遣唐使&百人一首で有名な安倍仲麻呂。
そして、平安時代の陰陽師で有名な安倍晴明がお祀りされています。
さて、アナタはどちらの安倍推しでしょうか。・・・いやそういう話ではありません(笑)
歴史上有名なこの二人も安倍氏出身。この地に縁の深い人物です。
境内の池に浮かぶ金閣浮御堂の内部には、安倍仲麻呂像と安倍晴明像という時代を超えた2大スターの像が共演しています。
春と秋の寺宝展の時期に公開しているので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
また、境内には安倍晴明が天文観測をしたと伝わる展望台もあります。
安倍晴明の母は、渡来系出身といわれており、清明の幼少期に秘伝の陰陽道をこの地で手ほどきしたと伝えられています。
古墳もすごい安倍文殊院
安倍文殊院の境内には、何故か古墳が二つもあります。
奥にある東古墳(閼迦井の古墳/あかいのこふんとも呼ばれる。)は、飛鳥時代の指定史跡。巨石で造られた原始的な古墳です。知恵の水が湧くといわれていて信仰の対象になっており、安倍文殊院の祈祷にも使われています。
西にある西古墳は何と、安倍文殊院の開祖である安倍倉梯麻呂の墓!!こちらも特別指定遺跡に認定されています。形状は円形古墳。この古墳の一番のポイントは石室のあった内部が綺麗すぎ!!という事(笑)
石室に使われている石が全てそれはもう、すべすべ綺麗な長方形に加工されていて、ぴったりとシンメトリーに組み建てられています。初めて入った時は、復元された石室なのかな~と勘違いしていたくらいです。
そして、天井は一枚岩。しかも手削りでアーチ状に削られています。これを7世紀後半に作れる技術があったことに驚きです。
安倍文殊院にお出かけの際はぜひ古墳にも注目してくださいね。
一番すごいフル装備の「文殊菩薩(騎獅文殊菩薩像)」(国宝)
菩薩界のトップリーダーとも名高い文殊菩菩薩様は、やさしい菩薩の顔。右手に剣。そしてユーモラスなお顔の獅子の台座に乗っている。
- 安倍文殊院のハイライトは何といっても「騎獅文殊菩薩像」
- 獅子に騎乗した菩薩という意味の名前だけでも十分にカッコイイのだが、こちらの文殊菩薩様はフル装備の文殊菩薩様としても有名。
- 装備品その1「獅子」え?動物も装備に入るの!?と思うかもしれないが、獅子は文殊菩薩様のみ乗ることが許された由緒正しき専用車。東から雲海を超えてこられる文殊菩薩様必須の装備と考えて間違いない。
- 装備品その2「降魔の利剣」こちらも降魔とか、ワクワクしそうなお名前の剣。
文殊菩薩様の研ぎ澄まされた知恵の象徴。頭が良い人の事を「頭が切れる。」なんて表現するように、切れ味抜群のこの剣は、誤った考えを断ち切る。と言われている。 - 装備品その3「蓮華」右手の剣とは対照的に左手には蓮華を装備。蓮華は清らかさと慈悲の象徴。
- 装備品その4「キャラバン隊列」文殊菩薩様には4人の眷属がいる。
その4人を引き連れて人々を救いに行くための道中、雲海を渡るキャラバン隊列を表したのが「渡海文殊像」。
安倍文殊院ではその眷属の4人もバッチリそろっている。 - ちなみに眷属とは、仏の部下のようなもの。
- 渡海文殊像のメンバーは、善財童子・優填王・須菩提・維摩居士となっている。
- その中でも、獅子の手綱を握っている優填王(うでんのう)は、元は西域の国の王だとされている。
その為、お顔がちょっと濃い。 - 製作は1203年(鎌倉時代)
- 作者は東大寺南大門の仁王像で有名なスター仏師・快慶の作品。
- というわけでもちろん国宝。
(もとは重要文化財だったが2013年に国宝指定に!!!) - 脇を固める眷属も同時期にすべて国宝指定されている。
- 台座の獅子もセットとして考えると、何と7メートル超えという文殊菩薩としては超規格外サイズ。
- 本堂の奥の数段高い場所にいらっしゃる上に、獅子にのっているのでものすごく高く感じる。
- したがって、自然と文殊菩薩様を仰ぎ見る格好になるため、仏様に見下ろされてぞくぞくする・・・といった嗜好に目覚めてしまいそうな気がする。・・・かもしれない。(あくまで個人の感想です。)
文殊菩薩とは?
「三人寄れば文殊の知恵」ということわざがあるように、文殊菩薩は知恵をつかさどる仏様。
(ちなみに、ここでいう知恵とは本質を見極める力。)
文殊菩薩のモデルは実在の人物とされています。インドのカースト(階級)の最高位バラモンの家に生まれた文殊は、釈迦の弟子となり、釈迦入滅後(お釈迦様が死んだあと)仏教教団のリーダー格だったと伝えられています。
また、「華厳経」では、東方清涼山に住む。という記述もあります。
そのため、中国では中国山西省の五台山、日本では奈良の葛城山が文殊の聖地とされています。
文殊菩薩のもつ剣は利剣(りけん)と呼び、文殊の研ぎ澄まされた知恵を象徴しています。
この剣は誤った考えを断ち切る。とも言われているので、
私も、誤ったときには是非とも文殊様に断ち切ってもらいたいものです・・・。という妄想はさておき、
文殊菩薩の特技は、動物調教。笑
その証拠?に、文殊菩薩の特有の台座としては獅子座がと呼ばれるものがあります。(座とは、すわる場所の事。・・・西洋星座占いの獅子座じゃないよ。)
蓮やら、雲やら像やら、色んなものを乗りこなす天界の仏さまの中で、獅子は文殊菩薩様にのみ許された乗り物。文殊菩薩様と、獅子は切っても切り離せない存在なのです。
そんな文殊菩薩と獅子座がセットで拝める安倍文殊院はとても貴重な寺院です。
百獣の王といわれる獅子(ライオン)は文殊の知恵の勢いが盛んな事の象徴。
(仏教では知恵の象徴ともいわれる)
周辺観光やランチなど
安倍文殊院のある桜井市でおすすめは、やはり三輪そうめん!!
色んなお店がありますが、「手延べ高田屋」のそうめんカフェはいかがでしょうか。
安倍文殊院まとめ
安倍文殊院、いかがだったでしょうか。
本堂の美しくも、フル装備の文殊様が学業成就のシンボルとして多くの信仰をあつめているだけでなく、
安倍文殊院は、陰陽師に古墳に、と盛りだくさんで訪れがいのあるお寺です。
また、一年をとおして色んな花を楽しめる場所でもあります。
ぜひ、あなたも受験シーズンのみならず、気軽に訪れてみてくださいね。