お寺

興福寺国宝館(エースはやっぱり阿修羅さま)

近鉄奈良駅から「東大寺」へ向かう道すがら奈良県庁のちょうど南に位置する「興福寺」。奈良公園の一部となっている興福寺の境内はとっても開放的。塀や門などで区切られておらず、鹿の気ままな散歩や、観光客の通り抜けなどは日常茶飯事。とっても懐の深いお寺です。

今回はこの「興福寺」の境内にある国宝だらけの建物、その名もズバリ「国宝館」をご紹介します。

国宝館が建ってる興福寺ってどんなお寺?

興福寺

住所:奈良市上大路町48
拝観時間:9:00~17:00 無休(境内の散策は自由)
拝観料:「国宝館」700円「東金堂」300円「中金堂」500円・「国宝館と東金堂の共通拝観券」は900円

アクセス:「近鉄奈良駅」から徒歩5分。「JR奈良駅」より徒歩15分

  • 中臣(藤原)鎌足でおなじみの藤原氏の氏寺として大繁栄。一時は東大寺を上回るほどの勢力と規模を誇った
  • 1180年に平重衡(しげひら)の南都焼き討ちで炎上。なんと全山炎亡に等しいまでに延焼したと言われる(哀)
  • しかし、その事により焼けた仏像の製作を運慶ら慶派一門に依頼することに。今でも有名な傑作がたくさん残ることとなった
  • そんなわけで現在でも多くの国宝仏などを所蔵しており、もう!何から紹介したらよいのか分からないよっ!!と頭を抱えたくなるほどの仏像の宝庫。
  • 奈良観光および、仏像を愛でる旅では外せないお寺となっている

さて、それではいよいよ国宝館のご紹介。

興福寺国宝館のあらまし

  • 僧侶の食事の場だった「食堂」の上に当時の外観を模した建物が建つ
  • ちなみに、地下には天平の礎石群がちゃんと保存されている
  • 外観は和風だが、宝物収納庫だけあって鉄筋コンクリート製で耐火性もバッチリ
  • 館内は、戦火や火災などを免れて現代まで残った珠玉の仏像や仏画・工芸品などがびっしり展示されている。何とも激アツなスポットである
  • 特に仏像ファンはハフハフすること間違いなし
  • 拝観料は600円
  • 受付では、なんと「阿修羅ファンクラブ」の入会申し込みができてしまう!!!
  • ファンクラブ会員証付きの入館券1000円を買えば誰でも入れる(ちなみに、有効期間は入会から1年間)

国宝館の主だった展示物

国宝館へ入ったはいいけれど、見る物見る物、国宝だらけで、「もう訳が分からないよ!」とう方へ、個人的にこれは注目してほしいというものをピックアップして、簡単な説明を付けてみました。

阿修羅像 (国宝)奈良時代

興福寺と言えば阿修羅像。阿修羅像といえば興福寺。それほど仏像に詳しくない人でも知っている超有名なイケメン仏像。「数ある阿修羅像の中でももっとも美しい」といわれ人気も高い。間違いなく天平彫刻の傑作のひとつ。製作技法は「脱活漆造」。阿修羅は、天部八部衆のひとつに数えられる。

八部衆立像 (すべて国宝)奈良時代

阿修羅も属する八部衆は古代インドの神々を仏教に取り入れたもの。その為、異形の形をしている像もあるが、全体的に華奢な体躯と幼い面立ちで柔らかな印象を受ける。天平6年(734年)の西金堂創建時は、本尊釈迦如来(現在は焼失)の周囲に脇役として安置されていたが、ここ興福寺国宝館では一番人気の阿修羅像と共に主役級の扱いをうけている。

仏頭 (国宝)奈良時代

その名の通り、頭だけが残っている仏像。元は、飛鳥・山田寺の講堂の本尊(薬師如来像)だった。1187年に興福寺に移されて東金堂の本尊となったが、落雷により焼失。頭部の行方が分からなくなっていたが、昭和12年(1937年)に現在の本尊の台座部分から発見された。685年に開眼供養された記録が残っていて、造立年代が明らかであることから、白鳳時代の彫刻の基準作として高く評価されている。

板彫十二神将立像 (国宝)平安時代後期

十二神将とは薬師如来の守護神(ガードマン)。東金堂の本尊である薬師如来の台座周囲に張り付けられていた。元は近くの元興寺にあったものだと考えられている。一枚の桧板に浮き彫りされていて、迷企羅大将が短い衣と裸足で立つ以外は、みんな守護神よろしく武装している。焔髪・巻髪・兜やら冠やら、頭一つ取ってもバリエーションが豊かで躍動感とユーモアがあふれていて見ていて飽きない。

天燈鬼立像  (国宝)鎌倉時代

「いらすとや」さんが描かれた天燈鬼が可愛すぎる・・・

仏像界では四天王に踏みつけられるという姿がおなじみの邪鬼。それが独立したユーモラスな像。下記の竜燈鬼と共に燈篭で仏前を照らす役割を担う。二本の角と三つの目を持ち、口を大きく開いている。元は着色されており赤鬼だった。

竜燈鬼立像  (国宝)鎌倉時代

口を開いて躍動的な天燈鬼とは対照的に、竜燈鬼は口を閉じて右手で上半身に巻き付いた龍の尻尾を掴んで立つ。ちなみにこちらは青鬼。どこか和める雰囲気のせいなのか二体とも、とても人気がある。実は二体で「阿吽」「赤青」「動静」の対比となっている。

金剛力士立像 (国宝)鎌倉時代

二神を一対として、寺門の左右を固めて伽藍を守護するのが一般的な金剛力士像(東大寺のものが有名)。しかし、興福寺の両像は、鎌倉再建時の興福寺西金堂の本尊の左右前方に置かれていた。本尊の両脇にこの像があると何だかものすごく守ってくれそうな気がする。リアルな筋肉描写と力強いバランスという鎌倉彫刻の特徴は見る者を魅了する。

千手観音立像 (国宝)鎌倉時代

国宝館でもっとも大きな仏像。何と5メートル20センチもあり、とても迫力がある。鎌倉時代に再建された旧食堂の本尊だった。千とは無限を意味していて、あらゆる方法で人々を救済しようとする観音の慈悲の表われを示している。

銅造華原磬 (国宝)中国唐時代

中国・唐の高宋から興福寺に贈られたと伝えられ、古くから興福寺の重宝として知られる。「磬」とは石や玉で作られた楽器のこと。獅子や龍などの細工が秀逸。仏像の中に合って異色の展示だが、中国・唐の時代の工芸技術の水準の高さを伺うことができる。

ここに書いた以外にもまだまだお勧めはたくさん!!是非とも足を運んで国宝に囲まれる体験をしていただきたいと思います。次回は上記の国宝たちをもう少し詳しく説明していきます。