発酵食品。と言われて私たちが真っ先に思い浮かべるのはヨーグルトではないでしょうか。
乳酸菌発酵食品の代名詞ともいえるヨーグルト。
市販されている商品も多く、日常に取り入れやすい発酵食品です。
今回は、おなかにいいだけでなく様々な健康効果をもたらしてくれるヨーグルトの基本や、商品の種類、効率的な食べ方などをご紹介していきます!!
ヨーグルトの基本
ヨーグルトってそもそもどんなもの?
ヨーグルトは、牛乳などに乳酸菌を加えて発酵させたものです。
発酵の過程で乳酸菌が増殖していくと、さわやかな酸味が生まれます。
また、酸には、たんぱく質を固める作用があるため、液体の牛乳はヨーグルトになるとプルプルに固まります。
ちなみに、「カスピ海ヨーグルト」の独自の粘りは、クレモリス菌という菌が生みだしたものです。
乳酸菌とは?
乳酸菌とは、代謝により乳酸を産生する細菌類の総称です。(Wikipedia「乳酸菌」より)
もう少し詳しく言うと、乳酸菌は、生きていくためのエネルギーを炭水化物などから取り入れます。そして増殖する時に、代わりに乳酸を出します(生成する)。これを乳酸発酵と呼びます。
乳酸菌には、乳酸球菌や乳酸桿菌など数多くの種類が存在しています。
「乳」という文字が付いているので、乳製品に入っているの?
と思われがちですが、実は乳酸菌はどこにでもいる菌。
自然の状態で野菜の表面などにもついています。
また、「乳酸」は「酸」とつく名前の通り、増えると食品の酸性度が上がります。
(つまり酸っぱくなる。)
発酵が進みヨーグルト内に乳酸が増えると、ヨーグルト内の酸性が強くなります。
そうして、有機微生物(悪い細菌)が生育できなくなり、ヨーグルトの安全性や保存性が高まっていきます。
乳酸を生成する菌はたくさんありますが、消費した炭水化物から50%以上の割合で乳酸を作りだす細菌を乳酸菌と呼ぶようです。
乳酸菌には様々な種類があり、それを「株」と呼びます。株によって効果や性能に違いがあり、取り入れる人の腸内環境によって相性もあります。
ヨーグルトの効能
腸の健康の為に。ヨーグルトを取り入れている人も多いはず。
その効能を掘り下げていきましょう。
便通の改善
ヨーグルトに含まれている乳酸菌には、腸内のバランスを整えて善玉菌の働きを助けて、悪玉菌の働きをおさえるという作用があります。これによって、腸内の蠕動運動も促されて、便通の改善に役に立ちます。
免疫力アップ効果
乳酸菌の助けにより、腸内の環境が良くなると、免疫の働きも整うという効果もあります。
免疫力をアップさせることで、体調不良や、アレルギー反応をおこりにくくしてくれます。
ただし、この効果は、乳酸菌が生きた状態で腸に届いた場合の話です。
ヨーグルトの乳酸菌のような「動物性乳酸菌」は一般的に酸や熱に弱いため、胃酸によって死んでしまう事が多いです。
しかし、最近では各メーカーより、「生きたまま腸に届く!」という機能性のあるヨーグルトもたくさん出てきています。免疫力アップを狙う場合はこのような生きて腸に届く乳酸菌を使ったヨーグルトを選んでください。
栄養が吸収しやすくなっている
ヨーグルトの原材料である牛乳にはたんぱく質・脂肪・カルシウムなどの栄養がたくさん含まれています。
そして、乳酸菌のはたらきにより、ヨーグルトの中にはその栄養が牛乳よりも消化・吸収されやすい形になって入っています。ちょっと胃が疲れた時や、体調がすぐれないときは、牛乳よりもヨーグルトのほうが消化の負担も少なくオススメです。
さらに、消化吸収の力が衰えてきたシニア世代の方の栄養補給にもピッタリの食品といえます。
また、牛乳を飲んでお腹がゴロゴロする人も、ヨーグルトなら大丈夫な人もいます。これは、ヨーグルトの乳酸菌がゴロゴロの原因である「乳糖」を40%ほど分解してくれているためです。
ヨーグルトの種類によって菌が違うの知ってた?
ヨーグルトは本来、自然界の乳酸菌が混ざり合って生成されたものでした。
しかし、現在日本では。各メーカーがさまざまな乳酸菌を選抜して培養したものを使用しています。
胃酸に強い菌や、特定の機能が認められたもの、体内で比較的長く生きられるものなど大手メーカーの努力によって素晴らしい商品を簡単に手に入れることができます。
特に機能性食品ヨーグルトは入っている乳酸菌じたいの数もかなり多く、高い効果が期待できます。
乳酸菌の株の種類とその特徴まとめ
乳酸菌にはさまざまな種類があり、各メーカーが特徴的な商品をたくさん販売しています。
乳酸菌の 種類 | 特徴 | 使用している 会社 |
LGG乳酸菌 | 乳酸菌ラクトバチルスGG株。胃酸などにも強く 生きたまま腸に届いて腸内に長くとどまってくれる。 アトピー性皮膚炎に一定の効果があるという研究もある。 | タカナシ乳業 |
R-1 乳酸菌 | インフルエンザ予防に効果があると言われているとても有名な乳酸菌。 本名は1073R-1という。人間の体内で免疫にかかわっている NK細胞(ナチュラルキラー細胞)を活性化させる。 身体の抵抗力を高めてくれる働きがある。 | 明治乳業 (R-1ヨーグルトなど) |
乳酸菌シロタ株 | 生きたまま腸に届いて良い菌を増やして悪い菌を減らしてくれる。 腸内環境を改善してお腹の調子を整え免疫力強化に役立つ。 | ヤクルト (ヤクルトなど) |
ガセリ菌SP株 | 脂肪の吸収を抑えて、内臓脂肪の減少を助ける働きがある。 おなかの調子を整えて、比較的長く腸内にとどまってくれる。 | 雪印メグミルク (恵SP株 など) |
LG21菌 | 胃酸に超強く、胃にとどまって増殖することもできる乳酸菌。 胃の環境と、健康を守る働きがある。 | 明治乳業 (LG21 など) |
PA-3乳酸菌 | 摂取したプリン体を分解して食後の尿酸の上昇を抑える働きが 報告されている乳酸菌。 | 明治乳業 (PA-3ヨーグルト) |
ラブレ菌 | 京都の伝統漬物「すぐき」より発見された菌。 乳酸菌の中でもトップクラスの生命力の強さを誇る。 生きて腸までとどくのはもちろん、腸内で増殖もする。 免疫力を上げ、お腹の調子や便通を整えてくれる。 | カゴメ (ラブレ など) |
クレモリス菌 FC株 | カスピ海ヨーグルトに由来する乳酸菌。 生きたまま腸に届いてお腹の調子を整える。 クレモリス菌が産生する粘り成分(EPS)は食物繊維と同じ働きがある。 | カスピ海 ヨーグルト |
ヨーグルトで取り入れた菌はずっと住み着いてはくれない
人間の腸内には、乳酸菌やビフィズス菌など多くの常在菌が住んでいます。
この菌のバランスは人の体質や生活環境によって大きく異なります。
そして、それらの菌はヨーグルトに含まれる菌とは種類が異なります。残念ですが、食べた菌が定着してずっと住み着いてくれないのです。
生きて腸に届いても、腸にいられるのはわずか数日。
だから、毎日色んな種類の発酵食品を食べ続ける事が大切なのです。
最近、見かけるようになった豆乳ヨーグルトとは?
最近、スーパーで見かけるようになってきた「豆乳ヨーグルト」
普通のヨーグルトとどう違うの!?なんて思われているかもしれません。
豆乳ヨーグルトも牛乳で作るヨーグルトと原理は同じ。豆乳を乳酸菌で乳酸発酵させたものです。
- 植物性の発酵食品であること。
- エネルギー(カロリー)が普通のヨーグルトに比べて30パーセントほど少ないこと。
- 女性の味方である大豆イソフラボンが取れる。
というのが大きな特徴です。
味は牛乳のヨーグルトよりも少し酸味のあるように感じる方もいるようなので、一度市販品を試してみてください。
ヨーグルトの上手な食べ方
ヨーグルトの種類や効能など色々ご紹介してきましたが、どれをとればいいの!?
と悩む方も多いと思います。どんな事に気を付けてヨーグルトを取ればよいのでしょうか。
ヨーグルトは色々試すべし!
さきほど、「ヨーグルトで取り入れた菌がそのまま住みついてはくれない」でも説明しましたが、取り入れた菌はずっとお腹にいてくれるわけではありません。
ヨーグルトを腸活のために取り入れる本当の目的は、自分の腸内細菌に刺激を与えるということ!!
そして、人によって、お腹に合う菌。合わない菌。も違います。
色んな種類のヨーグルトを食べて自分の体質に合う商品を見つける。というのが大切です。
合う合わないの目安として、1日に100g~200g程度食べてみて
食べ始めてから1週間~2週間たっても。便がバナナ状にならない。お腹が張る感じがぬけない。などを感じる時は、自分の体質にあっていない商品です。
逆に、便の調子がよくなった。何となく体調がよい。などを感じる場合は、自分に合っているので、同じ商品を3か月ほど続けてみましょう。
菌は色んな種類を取り入れるのと一番効果が高いので、余裕のある方はヨーグルトの種類を2~3か月おきにかえてみるのも効果的です。
ヨーグルトの食べる量は1日100g~200gぐらいがオススメです。
一度にたくさん食べるよりも毎日食べる方がより効果的!
ただし、プレーンを食べる場合は入れる砂糖の量に気を付けてください。
食物繊維と一緒にとるともっと良い!
食物繊維は、腸内の善玉菌がとっても喜ぶエサです。さらに、食物繊維は乳酸菌を船のように乗せて腸内の色んなところに届けてくれる働きもあります。
しかし、ヨーグルトに含まれている食物繊維はごくわずか。
そこで、ヨーグルトを取り入れて腸内の環境を良くしようとするときには、食物繊維も一緒に取ることを心がけましょう。
ヨーグルトにフルーツやドライフルーツ、グラノーラなどを混ぜて食べてみてはいかがでしょうか。
- 干し柿・・・1個(約30g)あたり4.1g
- バナナ・・・1本(約100g)あたり1.1g
- りんご・・・半分(約150g)あたり2.3g
- いちご・・・3粒(約60g)あたり0.9g
ヨーグルトまとめ
ヨーグルトいかがだったでしょうか。
ヨーグルトのよい所は、食べたい。と思ったらスーパーなどですぐに買えて、なおかつ美味しい!ということ。
手軽だというのは、続けやすくてうれしいですよね。
また、デザートとしてではなく水を切ったヨーグルトをソースにしたり、クリームチーズのように使ったりと料理にも使えます。
腸活とは、乳酸菌のようなもとから腸内で活躍している菌を食事でも補って、身体を整えていくというものです。まずは、一番手軽な発酵食品「ヨーグルト」で腸内環境改善をめざしましょう!!