お寺

聖林寺~十一面観音が素晴らしすぎるこのお寺を深堀り解説~

聖林寺基本情報

聖林寺

住所:奈良県桜井市下692
電話:0744-43-0005
拝観時間:8時00分~16時30分(年中無休)
拝観料:400円(子供料金あり)

アクセス:近鉄・JR「桜井駅」より奈良交通バス談山神社行き「聖林寺」下車すぐ


駐車場:あり。(有料300円)

聖林寺駐車場情報

国道165号線を榛原・名張方面に向かって走っていると右手に「聖林寺」の看板が見えます。
看板のある新聖林寺橋を右折をして走ると、聖林寺専用駐車場があります。

駐車料金の300円は、聖林寺の受付で支払います。

駐車場から急こう配の坂を登ればすぐに聖林寺です。美しい生垣の上に建物が建っています。

明日から使える聖林寺のお話

  • 真言宗室生寺派
  • 712年(奈良時代)藤原定慧(藤原鎌足の息子)が建立
  • 藤原鎌足の菩提を弔うために建てられたお寺
  • もとは談山神社の別院とされていた。(談山神社は元は妙楽寺というお寺だった)
  • 平安時代に妙楽寺(談山神社)と興福寺のケンカに巻き込まれてしまい、興福寺に焼き討ちにあう
    (鎌倉時代に復活。)
  • と、こんなに談山神社(妙楽寺は天台宗)と縁が深いのに、なぜか「聖林寺」は真言宗
  • そのわけは江戸時代に、大神神社の神宮寺である三輪山平等院の建物を移築して再興したから
  • ちなみにその時に名前も変えた。(「遍照院」だったのを「聖林寺」と改称。)
  • かのフェノロサが絶賛したといわれる美しい十一面観音があまりにも有名
  • けれど、ご本尊は子安延命地蔵菩薩さま
  • 子安地蔵さまは、江戸時代に作られた大きな石仏で、安産・子授けの祈願で有名
  • お参りのさいには、ご本尊にまずご挨拶しましょう

神宮寺とは?

神宮寺とは、神社に附属して建てられた仏教寺院などのこと。日本の神仏習合の思想の息づくお寺です。しかし明治時代の廃仏毀釈によってほとんどの寺院が消えたり、または神社に転向したりしました。

決して広くはありませんが、境内は綺麗に手入れされています

高い場所に建っているため、本堂のまわりの廊下の先からは、眼下に大和盆地の古墳群、山野辺の道、三輪山などを見渡すことができます

廊下には座布団が置かれています。時間を忘れてゆったりと、大和の土地を眺めてください

国宝・十一面観音菩薩立像

写真は、来年奈良国立博物館で催される「三輪山信仰のみほとけ」のパンフレット
  • 「聖林寺」名高いのは、もうこの十一面観音様のおかげといってもいいほど有名な観音像
  • 奈良時代製作
  • 木心乾漆造
  • 高さ209cmと意外に大きい
  • 台座もふくめた全身がほぼ造立当時のままという貴重な像
  • 全体を包んだ漆箔も残っている
  • 光背(背後のかざり)は大破していて、現在修復依頼中とのこと
  • もちろん国宝
  • という歴史的価値だけには収まらないのが、聖林寺の十一面観音
  • 天平彫刻の名品とよばれるその美しい立ち姿は、美仏の多い十一面観音界のなかでも、絶品といわれる
  • 明治時代に活躍した美術史家フェノロサ、哲学者の和辻哲郎など、多くの著名人がその美しさを絶賛
  • 特にフェノロサは「火事の時にはすぐに持ち出せるように!」と、車輪付きの専用厨子までプレゼントするほど惚れこんでいた
  • ぜひご鑑賞の際は「後ろへ引いた肩から張り出した胸部。引き締まったウエストの質感。右手の指のライン!」と、ぜひとも自分だけの推しポイントをみつけてほしい美仏
  • 現在は、本堂ではなく観音堂に安置されている
    (防災や防火の観点から国宝は本堂以外の専用ルームに安置されることが多い)

木心乾漆像とは?

粗く削った木彫の像の上に直接、乾漆を盛り付けて細部を表現する技法。
中身が木なので重量的に重くなります。

※2021年9月現在、十一面観音さまを安置していた観音堂の修復工事のために、観音様はお寺の外に出ておられます。↓↓修復工事にあわせた特別展。この期間はこちらに十一面観音さまがいらっしゃいます。

<特別展「国宝 聖林寺十一面観音 – 三輪山信仰のみほとけ」>

◆東京国立博物館
・2021年6月22日(火)~9月12日(日)
◆奈良国立博物館
・2022年2月5日(土)~3月27日(日)

本堂にあるフェノロサの贈った厨子には現在、西陣織で再現した十一面観音様が収まっています(こちらは撮影可能)

実は三輪山信仰とかかわりのある十一面観音

仏像好きを魅了し続ける「聖林寺」十一面観音ですが、実は神の山として名高い「三輪山」と関りがあるのはご存じでしょうか。

「大神神社」は本殿をもたずに、ご神体である三輪山を拝む自然信仰の色濃く残る神社です。
奈良時代以降、仏教の影響をうけて神社に付属するお寺(神宮寺)や、仏像などがつくられていました。
神社とお寺は自然と歴史のなかで共存してきたといえます。

十一面観音菩薩立像は、江戸時代に大神神社の神宮寺である「大御輪寺」から「聖林寺」へうつされて現在にいたります。とっても美しいこの十一面観音さまが、元は三輪山の中にあるお寺で祀られていた。というのはとても感慨深いですね。

十一面観音とは?

観音様は、助けを求める人に応じて、姿を変えて現れその人を救う。といわれています。

その観音様の変化の姿の1つであるのが十一面観音。

十一面観音は、「十一の顔を持つ者」という意味です。
頭上に10の小さいお顔を置いて、本面と合わせて十一とするものと、
頭上に11の小さいお顔を置く者の二種類があります。

あらゆる方向に救いの手を差し伸べられるように、沢山のお顔を持った観音様。
多くの目で四方を向いて、みんなを救えるように。ということです。

ちなみに、十一面観音さまは、装身具や衣などが凝っているお姿が多く、お顔も とっても整った美しい面立ちの仏像が多いのも特徴 。
元々性別のない仏様なので男とも女ともつかない不思議な魅力にあふれています。

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聖林寺 まとめ

聖林寺いかがだったでしょうか。

十一面観音さまの本物を見たくなってきませんか?
私はこれを書いているそばから、また見に行きたくなってきました。
歴史的にも美術的にも価値の高い仏像である「十一面観音」さま、ぜひ見に行ってくださいね。

また、聖林寺のある桜井周辺には、このお寺とゆかりの深い大神神社や紅葉で有名な談山神社など見ておくべき神社仏閣がたくさんあります。
歴史史跡が豊富な明日香村とも近いので明日香村観光のさいにはこちらのお寺を予定に組み込んでいただければ。と思います。

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